Google AI StudioのBuild機能を使うと、プログラミングをほとんどせず、自然な言葉の指示だけでNano Banana(Geminiの画像生成・編集機能)を組み込んだオリジナルアプリを作れます。線画ジェネレーターを題材に、APIキーの取得から公開、PWA化までの流れを押さえると、同じ手順でほかの画像生成アプリにも応用できます。
2025年9月17日のProcevoの講座では、講師のKEITOがGoogle AI StudioのBuildを使い、画像を線画に変換するアプリを実際に作りました。扱ったのは、APIキーの取得、修正の重ね方、アスペクト比がずれるときの対策、Google Cloudへのデプロイ、スマートフォンでアプリのように使えるPWA化までです。
タップで拡大 Google AI StudioのBuildで線画アプリを公開する流れの図。APIキー取得、Buildで指示、自然な言葉で修正、Cloud RunへデプロイとPWA化の4ステップ Nano Bananaとは何? Nano Bananaは、Geminiに搭載された画像生成・編集の機能です。画像をアップロードして「精密な線画にしてください」「アメコミ風の絵にしてください」と指示するだけで、その通りに変換された画像が得られます。髪色や服装の変更、3Dアセット風の画像作成など、幅広い加工に対応します。
線画ジェネレーターの完成イメージ。画像をアップロードして線画に変換するアプリのプレビュー 本講座の目的は、このNano Bananaの機能を入れたオリジナルアプリを作ることです。講師のKEITOが事前に作った例として、アップロードした写真からLINEスタンプ風の画像を生成するアプリが紹介されました。裏側に「LINEスタンプ風の画像を作る」というプロンプトを固定で仕込み、文字入力欄などのUIを指示しただけで、コードは一切書いていないといいます。ただし、画像内に日本語の文字を入れると崩れやすいという課題も見られました。
アプリに組み込むプロンプトのアイデアとしては、文字の加工、3Dモデル化、線画化、髪色変更、LINEスタンプ化などが挙げられています。
タップで拡大 Nano Bananaを使うアプリの画像加工例として、文字の加工、3Dモデル化、線画化、髪色変更、LINEスタンプ化が挙げられている図。 前提条件と費用は? Google AI Studioを使うため、Googleアカウントが必須 基本は無料で使えるが、回数制限がある。無料の範囲を超えると有料(従量課金)の設定が必要 アプリをURLで公開する場合はGoogle Cloudが必要。従量課金だが初回は無料枠がある 前提条件と今回の目的のスライド。Googleアカウント必須、無料枠と従量課金、Google Cloudでの公開 講師のKEITOによると、資料作成のために1日いろいろ検証しても費用はごくわずかだったとのことです。料金や無料枠は変わることがあるため、最新の条件はGoogle AI Studio(https://aistudio.google.com/)とGoogle Cloud(https://cloud.google.com/)の公式ページで確認してください(2026年11月時点)。
APIキーはどう取得する? 最初にGoogle AI Studio(aistudio.google.com)にアクセスし、APIキーを作成します。
Google AI StudioのAPIキー画面。キーの作成とプロジェクト一覧 画面左下の「Get API key」をクリックする 右上の「APIキーを作成」をクリックする プロジェクトの選択画面が出たら、任意のプロジェクトを選んで作成する 作成後、画面下に「お支払い情報を設定」などの表示が出ていれば準備は完了です。プランの表示が「無料(Free)」の場合は、どこかの時点で使えなくなる可能性があります。その場合は「Open Cloud Console」からGoogle Cloudに支払い情報を登録します。
Buildで線画ジェネレーターを作るには? アプリ作成には、Google AI Studioのトップページにある「Build」を使います。作りたいアプリを自然な言葉で伝えるだけで、アプリが組み上がっていきます。講座で使った指示の要点は次のとおりです。
Buildで作った線画アプリのプレビューと、アスペクト比の指定が反映されないので調整するよう伝える追加の指示のスライド GeminiのNano Bananaの機能を活用した線画作成アプリを開発する プロンプトは「この画像を精密な線画にしてください」で固定する ユーザーが画像をアップロードできるようにする 線の太さを調整できる機能、アスペクト比(横長・縦長・正方形)を選ぶ機能、背景を変更できる機能を付ける 同時に4枚の画像を生成できるようにする BuildではAPIキーを自分で組み込む指示をしなくても、取得済みのキーが内部的に使われ、Nano Bananaや画像解析(Vision)などGeminiの機能がアプリに自動で入ります。そのため画像生成以外にも、チャットボットやPDF要約アプリなども簡単に作れます。
自然な言葉でどう修正する? 一度で思い通りのアプリができることはまれで、最も時間がかかるのは修正作業です。講座では次のような修正を指示しました。
完成した線画ジェネレーター。アップロードした写真と線画の結果、生成履歴が並ぶ画面 「線画ジェネレーター」という名前にする UIを日本語にする(英語で生成された場合) 生成結果の履歴を残す アスペクト比を1:1、16:9、9:16から選べるようにする ダウンロード機能を付ける アスペクト比が反映されない問題と対策 Geminiで画像生成アプリを作るときによく起きるのが、アスペクト比の設定がUI上は追加されても実際の画像に反映されない問題です。縦長を選んでも、縦長の枠の中に正方形の画像を置いただけの「それらしい」出力になってしまいます。
講師のKEITOが試行錯誤の末に見つけた対策は、16:9・9:16・1:1の無地の画像をあらかじめ用意し、アプリに組み込む方法です。「ユーザーが選んだアスペクト比の画像とアップロードした画像を合わせて線画を作成し、アスペクト比画像に合わせた大きさで、画像全体が線画になるように生成してください」と指示したところ、選んだ比率どおりの画像が生成されるようになりました。
タップで拡大 アスペクト比が反映されない問題と対策の図。UIに比率を足しただけでは縦長の枠に正方形の画像が置かれるだけで、16:9・9:16・1:1の無地画像を組み込んで合成させると選んだ比率で生成される 2段階の画像生成はどう作る? 講座の後半では、手書きの文字をもとに金属風の文字画像を作るアプリも作りました。「まず手書きのスケッチから文字の画像を作り、次にその文字をメタリック加工する」という2段階の処理と、色の選択機能を指示しています。
タップで拡大 手書きのスケッチから文字の画像を作り、その文字をメタリック加工する2段階の流れを示す図。 プロンプトを細かく調整したい場合は、BuildのCode画面でファイルを検索し、プロンプトが書かれている箇所を直接編集することもできます。
アプリをデプロイして公開するには? Buildのプレビュー画面でもアプリは使えますが、その画面を離れると使えず、プレビュー共有ではチャットのやり取りも見えてしまいます。URLで公開するには、保存(Save)したうえで「アプリをデプロイ」を押します。
Buildのコードアシスタントが、手書きの文字を2段階で加工するアプリ(AI Image Generation Studio)を作っている画面 アプリをGoogle Cloudへデプロイした完了画面 Google Cloudのプロジェクトを選ぶ画面が出るので、APIキー作成時にできたプロジェクトを選び「Deploy app」を押すと公開が完了します。完了まで数分かかることがあります。アプリはCloud Runのサービスとして公開され、APIキーはアプリ内には露出しない仕組みです。
タップで拡大 アプリを保存し、デプロイ操作とGoogle Cloudのプロジェクト選択を経て、Deploy appでCloud Runに公開する手順の図。 完了画面の「Open in Google Cloud」からは、公開したサービスの稼働状況やリクエスト数を確認できます。費用はGoogle Cloudの「お支払い(課金)」ページで確認します。アプリを編集した場合は、再度デプロイ(再デプロイ)しないと公開版に反映されません。
他人に使ってもらう場合の注意 公開したアプリが使われるほど、自分のGoogleアカウントに課金されます。また、バイブコーディングで作ったアプリはセキュリティ面の責任を取りにくいため、講師のKEITOは「基本は自分だけのオリジナルアプリとして使う」ことを勧めています。サービスとして提供する場合は、課金とセキュリティを学んでからにすべきだとしています。
保存・バージョン管理・ローカル実行はどうする? 作ったアプリは、Buildの最初の画面にある「Your apps」から後で再編集できる(保存している場合) 「Copy app」でコピーを作っておけば、途中の状態を残せる 修正前のやり取りには「チェックポイント」から戻れる。GitHubと連携すると、デプロイごとの履歴から戻すこともできる コードをダウンロードし、Claude CodeやCodexに「このフォルダのアプリをローカルで動かして」と頼めば、React・Node.jsの環境構築からローカル起動(localhost:5173など)までやってくれる タップで拡大 作ったアプリの管理を3つにまとめた図。保存してYour appsから開き直す、チェックポイントやGitHubの履歴から戻す、コードをダウンロードしてClaude CodeやCodexでローカルで動かす ローカルで動けば、自分のサーバーと独自ドメインで公開する道も開けます。なお、以前の講座で扱った静的サイト(HTMLとCSSのみ)と違い、このようなアプリはユーザーの操作で画面が変わる動的サイトです。サーバーに手作業でアップロードするだけでは動かず、実行環境(バックエンド)が必要になります。
PWA化でスマホアプリのように使うには? Buildで作ったアプリは、特に指示しなくてもスマートフォン表示に対応していました。さらに「PWA(プログレッシブウェブアプリ)に対応して」と指示すると、ホーム画面にアイコンを追加して、アドレスバーのない専用アプリのように起動できます。パソコンでもアプリとしてインストールできました。
タップで拡大 Buildで作ったアプリのスマートフォン表示と、PWA対応を指示した後のホーム画面への追加を比べる図。 パソコンで開いているURLをスマホに渡すには、ブラウザのQRコード作成機能が便利です。Chromeの場合は、右上のメニュー(︙)の「保存して共有」にある「QRコードを作成」から表示できます。
どんな作品や応用アイデアがある? ワークショップでは、漫画風画像のジェネレーター、アイコン作成ツール、風刺画メーカーなど多様なアプリが作られました。応用アイデアとして次のようなものも挙がっています。
Veo 3を使った動画生成アプリ 長い動画の文字起こしツール Googleマップのピン位置から建物の3D模型風画像を作るアプリ 指名手配書メーカーのような定型フォーマットの画像ジェネレーター タップで拡大 Veo 3による動画生成、長い動画の文字起こし、地図のピン位置からの建物画像、定型フォーマットの画像生成という4つの応用アイデアを並べた図。 決まったスタイルで画像を量産したいSNSやショート動画の制作に向いています。講師のKEITOによると、API経由で生成した画像にはGeminiアプリで付くウォーターマークが付かないとのことです。Google AI Studioの「Generate media」などには、参考になるサンプルが多数用意されています。
CursorなどのAIコーディングツールとの違い 参加者から、Cursorなどと比べた使いやすさについて質問がありました。講師のKEITOの見立てでは、Google AI StudioのBuildはあらかじめ決まったテンプレートに沿って作るため、きれいに仕上がりやすい反面、突飛な要求には応えにくく、作品同士が似通いやすい傾向があります。Cursorなどはより自由度が高いとしています。
AI機能の入ったアプリを手を動かして作る回はAIスケジュール帳の作り方|Codex App Serverでアプリを作って試す とAIアプリをMacにする方法|Codex App BuilderでDMG配布まで で扱っています。
まとめ Google AI StudioのBuildを使えば、自然な言葉だけでNano Bananaを組み込んだ画像生成アプリを作れる 準備はGoogleアカウントとAPIキーの取得だけ。公開にはGoogle Cloudが必要で、従量課金になる 固定プロンプトとUIの機能を指示し、足りない点は自然な言葉で修正していく アスペクト比が反映されない場合は、比率ごとの無地画像を組み込んで合成させると安定する デプロイでCloud Runに公開でき、編集後は再デプロイが必要。他人に使わせると自分に課金される点に注意 PWAに対応させると、スマホのホーム画面からアプリのように使える よくある質問 Google AI StudioのBuildは無料で使えますか? 基本は無料で使えますが、回数制限があります。無料の範囲を超えた場合や、アプリをGoogle Cloudに公開する場合は、支払い情報の登録が必要です。最新の条件は公式ページで確認してください(2026年11月時点)。
作ったアプリを後から編集するには? Buildの最初の画面にある「Your apps」から開けます。保存(Save)していないと残らないので、こまめに保存し、必要に応じて「Copy app」でコピーを取っておくと安心です。
アスペクト比を選んでも画像の比率が変わらないのはなぜですか? UIだけが追加され、実際の生成に反映されていないことがよくあります。講座では、16:9・9:16・1:1の無地画像を用意してアプリに渡し、選んだ比率の画像と合成して生成するよう指示する方法で解決しました。
公開したアプリを他人に使ってもらっても大丈夫ですか? 使われた分だけ自分のGoogle Cloudに課金されます。またセキュリティ面の責任もあるため、講座では自分専用のアプリとして使うことを勧めています。
スマホでアプリのように使うには? 「PWAに対応して」とBuildに指示し、再デプロイします。スマホでURLを開いてホーム画面に追加すると、アイコンから専用アプリのように起動できます。