Claude Code と Premiere Pro を拡張機能「Claude Bridge」でつなぐと、テロップ・効果音・見出し・Bロールの図解を、日本語で頼むだけでタイムラインに入れてもらえます。言い間違いの候補にマーカーを付けることもできます。一方で、カットの細かい判断と切り替え効果(トランジション)は、2026年11月の時点ではまだ苦手です。
2026年11月2日のワークショップでは、講師のサウスさんが実際の案件で使っているやり方を、コーヒーの淹れ方を話すだけの45秒のサンプル動画で再現しました。この記事では当日の流れに沿って、つなぎ方の仕組み、準備の手順、頼み方の順番、そして今できることとまだ難しいことをまとめます。
Claude で Premiere Pro を動かすワークショップの表紙スライド。テロップ18種を自分の Mac で作り、複製したシーケンスに乗せる内容 AIが動画を作れる今、なぜ Premiere Pro を使うのか? 動画そのものを AI に作らせる方法は増えています。それでも編集ソフトを使う理由として、サウスさんは3つを挙げました。
1つ目は、納品の形式が決まっている仕事があることです。「Premiere Pro のプロジェクトファイルで受け取って、編集したらプロジェクトファイルごと返してほしい」という依頼は今も残っています。完成した動画ファイルだけを渡せば済む場面ばかりではありません。
2つ目は費用です。Premiere Pro の画面を AI に見せてクリックさせる方法(コンピューターユース)でも動かせますが、コストがかかりすぎます。
3つ目が今回の本題で、拡張機能を使えば AI が Premiere Pro をコードで直接動かせます。
タップで拡大 AIが動画を作れる今も編集ソフトを使う理由3つ。納品の形式が決まっている、画面操作はコストが高い、拡張機能ならコードで動かせる Photoshop や Illustrator でも、ファイル形式を指定されることがあります。今あるクリエイター向けのソフトを AI に使わせる、という考え方はほかのソフトにも広げられます。3Dソフトを AI と一緒に使う回としては、AIと一緒にはじめるBlender3D制作 も開催します。
Claude Code と Premiere Pro はどうつながる? Claude Code が書いた指示を、Premiere Pro に入れた拡張機能「Claude Bridge」が実行する仕組みです。Claude Code に日本語で頼むと、Claude Code が Premiere Pro を動かす指示を書き、Claude Bridge がそれを Premiere Pro の中で実行します。つながったかを確かめると、今のタイムラインの状態が文章で返ってきます。
タップで拡大 Claude Code が日本語の依頼から指示を書き、Premiere Pro の拡張機能 Claude Bridge が実行して結果を返す流れ 画面を見てクリックさせるコンピューターユースではなく、拡張機能を通してコードで動かします。そのため、Premiere Pro のすべての機能が使えるわけではありません。サウスさんは「あくまで補助役。自分の作業の一部を任せる使い方がいい」と話していました。
当日のゴールと、やらなかったこと 当日のゴールは次の6つです。無音部分や言い間違いのカットは、あえて範囲から外しました。代わりに、言い間違いと思われる所へマーカーを付けるところまでを扱っています。
当日できるようになること6つ(拡張でつなぐ、Premiere を操作する、テロップとSE、タイトルと章見出し、Bロール図解、言い間違いにマーカー)と、やらないこと(無音のカット、言い間違いのカット) 準備するものは? 検証に使った環境は、macOS 26、Premiere Pro 2026(26.0.2)、Python 3、ターミナルで動く Claude Code です。Claude Desktop だけでは、ファイルを書いたり命令を実行したりできないので使えません。
事前準備の表。macOS 26.x、Premiere Pro 2026(26.0.2で検証)、Python 3、Claude Code(ターミナル)。Claude Desktop だけでは使えない 当日は Mac を前提に進めました。Windows の場合は、配布のファイルを Claude Code に渡して「Windows でも使えるように読み替えて」と頼み、手元で動くかを試す形になります。Premiere Pro を持っていない場合は、Adobe 公式の7日間の無料体験 で試せます(2026年11月時点)。
セットアップはどう進める? 配布のキット(ZIP)を Claude Code に渡し、「セットアップしてください」と頼むところから始めます。拡張機能のインストールは Claude Code が進めてくれるので、終わるまで待つだけです。
タップで拡大 キットのZIPを渡してセットアップを頼み、Premiere Pro を再起動して Claude Bridge を開き、フォントを確かめ、テロップの部品18種を作り、ローカルテンプレートとして読み込むまでの5ステップ 終わったら Premiere Pro を再起動します。メニューの「ウィンドウ」→「エクステンション」に Claude Bridge が出ていれば、拡張機能は入っています。
Premiere Pro のウィンドウメニューから、エクステンションの中の Claude Bridge を選ぶ画面 テロップは Noto Sans JP で作ってあるので、フォントが入っているかも Claude Code に確かめてもらいます。無ければ、キットの説明を読んで入れてくれます。
テロップの部品は、なぜ先に作っておくのか? キットの Python ファイルを実行すると、テロップのテンプレート(.mogrt)が18種類できます。これを Premiere Pro のエッセンシャルグラフィックスから「ローカルテンプレート」として読み込むと、Claude Code が編集のときに使えるようになります。
キットで作ったテロップのテンプレート18種の一覧。「ここがポイントです」「まさかの結果」「97%」「カット編集の基本」など エッセンシャルグラフィックスのローカルテンプレートに、作ったテロップ(S2-06 初級、S2-05 この動画の要点 など)が並んだ画面 テンプレートは取引先ごと、いつもの型ごとに作って貯めておくのがおすすめだそうです。ストックがあれば、Claude Code が場面に合うものを選んで、編集できる文字のまま差し込んでくれます。
見出しとテロップは作り方が別です。左上・右上の見出しは画像で作り、動画の中でずっと同じ形で使います。画面下のテロップは文字で入れるので、言い回しをあとから直せます。
タップで拡大 見出しは画像、テロップは文字で入れる使い分け。画像は作り込んだ見た目にできるがその場で直せない。文字は Premiere Pro 上で編集できる 画像の見出しを直したいときも、Claude Code に頼めば作り直して差し替えてくれます。
コーヒーの動画では、どんな順番で頼んだ? サンプルは、コーヒーの淹れ方を話すだけの45秒の動画です。「あの」「えっと」や長い間を、わざと入れて作ってあります。ここにタイトル・章見出し・テロップ・効果音・BGMを足していきました。
講師が用意した見本の比較。元はナレーションだけ。編集した後はタイトル・章見出し・字幕・ポイント4つ・効果音4つ・BGMが入り、言い間違いと間も切って45.5秒が32.6秒になっている スライドの見本は、言い間違いと間も先に切ってあります。当日のワークでは、カットはせずにテロップや効果音などを入れるところまでを試しました。頼んだ順番は次のとおりです。
タップで拡大 コーヒーの動画で試した頼み方の順番5つ。つながりの確認、シーケンスの複製、テロップ・効果音・見出しをまとめて依頼、Bロールの図解、言い間違い候補へのマーカー 最初に、サンプルのプロジェクトを開いた状態で「Premiere とつながっているか確かめて」と送ります。Claude Bridge のパネルに経過が出て、Claude Code が V1〜V3 のトラックにどんなクリップがあるかを確かめ、今の状態を文章で返してきます。
次に、今あるシーケンスを複製してから作業してもらいます。元のタイムラインを崩されないための保険です。ふだんの編集では言わなくても新しいシーケンスを作ってくれることが多いそうです。
そのうえで、テロップ・効果音・見出しをまとめて頼みます。Claude Code はタイムラインのどこで何を話しているかを先に読み取り、見出しを置く所、テロップを置く所、効果音を合わせる所を決めて入れていきます。
Premiere Pro のプログラムモニターに「お湯の温度は、90度くらいが、ちょうどいいです。」のテロップと「90度くらい」のポイント、左上に「コーヒーの入れ方」の見出しが入った画面 Claude Code が作業している間は、Premiere Pro に触らずに待ちます。人が操作すると、Claude の操作とぶつかるからです。サウスさんはその間、別の仕事をして、終わってから確認しているそうです。
効果音とBGMはどう用意する? 当日のキットに入っていた効果音は、配布できるように ElevenLabs で作ったものでした。実際の編集では、効果音ラボなどの素材サイトや、フリーのBGMサイトから好みの音を集めておくのがおすすめだそうです。
タップで拡大 テロップのテンプレート、効果音のフォルダ、BGMのフォルダを貯めておくと、「いつも通りの感じで」と頼むだけで同じ型で粗編集まで進む 自分のフォルダに効果音とBGMの置き場を作り、いつもそこから使うようにしておくと、仕上がりがそろいます。テンプレートと素材が決まってくれば、一つずつ指示しなくても「いつも通りの感じでやって」と頼むだけで粗編集まで進められます。最後の微調整は自分の担当です。
素材やテンプレートの置き方を整えておくと、Claude Code への頼み方も短くなります。フォルダの作り方はClaude Codeの出力が10倍良くなるKAWAI式フォルダ設計術 の回で扱っています。
Bロールの図解は、やりとりしながら整える 補足の図解(Bロール)も、Claude Code に差し込んでもらえます。当日は、用意した図解の画像を「15秒から20秒に別のトラックで重ねて」と頼みました。
Claude Code の返答。diagram.png を SAMPLE_COFFEE_COPY の V3 の15〜20秒に置き、17秒のコマを書き出して図が画面いっぱいに出ていることを確認したと報告している 最初は図が画面より大きく入りました。そこで「画面のサイズに合わせてください」と返すと、ちょうどいい大きさに収まりました。一度で完成させるのではなく、見て気になった所を伝えて直してもらう。この往復がこのツールの使い方の基本です。
Bロールの図解「Claude が書いた指示を、Premiere が実行する」が画面に収まり、タイムラインの別トラックに置かれた画面 言い間違いはどう扱う? 言い間違いや、同じ言葉を2回言っている所は、消さずにマーカーで知らせてもらいます。サンプルでは「まずお湯の温度です。あのお湯の温度は。お湯の温度は九十度くらいが…」と言い直している所に、「言い直しているのでは?」というコメント付きのマーカーが付きました。
タップで拡大 言い直している所にマーカーとコメントを付けてもらう例。すぐ消すと戻すのが大変になり、印だけなら自分で聞き直して決められる すぐに削除まで任せると、実は言い間違いではなかった所や、わざと繰り返した所を元に戻すのが大変になります。マーカーなら、候補を聞き直してから、消すかどうかを自分で決められます。どこが言い間違いかの判定は Claude が文字起こしを読んで行うもので、機械的に検出しているわけではありません。
配布マニュアルのマーカーの手順。「11.6 秒と 23.9 秒に、名前『言い間違い?』のマーカーを付けて」と頼み、ナレーションの「あの」「えっと」の位置に印を付ける 実際の案件ではどう使っている? サウスさんは Claude Code の研修の告知動画を編集するときに、このやり方を使いました。受け取った素材は、話している様子を撮っただけの映像です。そこへ見出し・テーマのテロップ・効果音・スライドの差し込みを、Claude Code に作って入れてもらっています。
研修の告知動画のタイムライン。スライド、章の見出し、画面録画、ワイプなど、多くの素材がトラックに重なっている 静止画のスライドだけでなく、動くスライドを差し込み、話している人の顔を切り抜いてワイプとして置くところまで任せています。メールやチャットの画面を見せる場面では、Claude Code にパソコンの画面を録画してもらい、モザイクをかけてから差し込みました。
スライドの色やフォントは、研修の申し込みページに合わせるように指示しています。「この人の動画の雰囲気に近づけたい」という場合も、その動画のフォントの使い方やテロップの出し方を一度調べさせ、同じフリー素材のBGMを用意すれば、ある程度は近づけられるそうです。
一度で完成形が出るわけではありません。「ここは見づらい」「ここに図解を入れたい」とやりとりを重ねて、完成に近づけていきます。
できること・まだ難しいことは? 2026年11月2日の時点で、Premiere Pro で任せられることと、まだ難しいことを整理しました。
タップで拡大 Premiere Pro で任せられることと、まだ難しいこと。できるのはテロップ・効果音・見出し・Bロール・動くスライド・ワイプ・モザイク・マーカー。研究中はカットとエフェクト。トランジションの差し込みはまだできない いちばん難しいのはカットです。「〜なんですよね」の最後の「ね」を判定しきれず、「〜なんです」で切れてしまうことがあります。音量でも文字起こしでも決めきれないので、今は「先に自分でカットしてから、装飾を任せる」のが落としどころだそうです。
Premiere Pro のエフェクトは研究中で、トランジション(切り替え効果)の差し込みは今のところできません。動画にモザイクをかけることはできます。After Effects も同じような仕組みで動かせたそうで、作ったものは Premiere Pro に取り込めます。
講師が用意したコーヒーの動画の完成見本は、こうなっています。言い間違いと間を切ってあるので、32秒ほどの長さです。
コーヒーの動画の完成見本。最後のテロップ「以上です、ありがとうございました。」と見出しが入り、タイムラインに画像・テロップ・効果音・BGMのトラックが並んでいる AI に自分の環境を操作させるときは、権限の範囲を決めておくと安心です。設定の考え方はClaudeCodeを安全に使うためのセキュリティ講座 で扱います。
まとめ Claude Code と Premiere Pro は、拡張機能「Claude Bridge」でつながる。画面を操作させるのではなく、拡張機能を通してコードで動かす 準備は、キットの ZIP を Claude Code に渡して「セットアップして」と頼むところから。Premiere Pro を再起動し、テロップの部品を読み込む テロップ・効果音・見出し・Bロールの図解は、日本語で頼むだけで入る。テンプレートと素材を貯めるほど頼み方が短くなる 作業前にシーケンスを複製し、Claude が動いている間は Premiere Pro に触らない 言い間違いは消さずにマーカーで知らせてもらい、最後は自分で判断する カットの細かい判断とトランジションはまだ苦手。今は「先にカット、装飾は任せる」が落としどころ よくある質問 Claude Code で Premiere Pro を操作できますか? できます。Premiere Pro に拡張機能(Claude Bridge)を入れると、Claude Code が書いた指示を Premiere Pro の中で実行できます。テロップ・効果音・見出し・図解の差し込みや、言い間違い候補へのマーカーを日本語で頼めます。
Claude Desktop だけでも使えますか? 使えません。ファイルを書いたり命令を実行したりする必要があるので、ターミナルで動く Claude Code を使います。ワークショップで動作を確かめた環境は、macOS 26 と Premiere Pro 2026(26.0.2)です。
Windows でも使えますか? 当日は Mac を前提に進めました。Windows の場合は、配布のファイルを Claude Code に渡して Windows 用に読み替えてもらい、手元で動くか試す形になります。
AI にカットまで任せられますか? 頼めば切ってくれますが、細かい判断はまだ難しい状態です。語尾の「ね」を残すかどうかのような判断で、切る位置がずれることがあります。今は自分でカットしてから、テロップや効果音などの装飾を任せる使い方が現実的です。
編集中に Premiere Pro を触ってもいいですか? Claude が作業している間は触らずに待ちます。人の操作と Claude の操作がぶつかるためです。作業が終わってから確認し、気になる所を Claude Code に伝えて直してもらいます。
After Effects でも同じことができますか? 講師のサウスさんによると、After Effects も同じような仕組みで動かせたそうです。After Effects で作ったものは Premiere Pro に取り込めます。
効果音やBGMはどうやって用意しますか? 効果音ラボなどの素材サイトや、フリーのBGMサイトから好みの音を集め、自分のフォルダに置いておきます。決まったフォルダから使うようにしておくと、毎回同じ雰囲気で仕上がります。