Unity で 2D ゲームを作るとき、AI に丸投げすると、あとから直せない物ができあがります。この回では Unity Hub のインストールや C# コードの書き換えは Codex や Gemini に頼み、背景やプレイヤーの配置、当たり判定、アニメーションの設定は自分の手で触って覚える、という分け方で進めました。基礎を知っておくと、AI に「どこを直してほしいか」を指示できるようになります。
2026年7月6日のワークショップは、全3回の1回目です。講師のダイチさんが、Unity 6.5 で2Dの横スクロールゲームの基本の形を作りながら、画面の見方、物理の設定、アニメーション、敵の配置、そして AI を使う場面を順番に見せました。
AI任せでゲームを作らない理由の図解。AIでゲームは作れるが、設計が分からないとあとから編集しづらく、AI同士で上書きが起こることもある。だからUnityの基本構造とゲーム設計を自分で理解する なぜ AI に丸投げしないのか? ダイチさんが最初に話したのは、AI 任せでゲームを作らない理由です。AI だけで作ると驚きはあっても、設計が分からないのであとで直せません。直そうとすると別の所が壊れ、時間だけが過ぎていきます。複数のエージェントを並行で動かすと、同じファイルを書き換え合って前の修正が消えることもあります。できあがるゲームも中央値のような物になりやすく、人のフィードバックを回さないと面白くならない、というのが講師の実感でした。
タップで拡大 AIに丸投げせず自分で直せるようになる、という3つの理由。あとで直せない、AI同士が上書きする、中央値のゲームしか出てこない だから最初は基礎を手で触ります。基礎が分かると、「カメラの修正と敵のコードの修正は干渉しないから、同時に進めていい」といった判断ができるようになります。
準備は何から始める? Unity Hub が入っていない人は、Codex に頼めば設定までやってくれます。配布のマニュアルにあるプロンプトは、2D ゲームを作りたいこと、Unity Hub のインストールと最新の Unity 6.5 の使用、C# コードの編集は VS Code で行いたいことを伝える趣旨の文面です。これを Codex のコンピューター操作を使って送ります。
配布マニュアルに載っている、Codexに渡すセットアッププロンプト。Unity Hubのインストール、Unity 6.5の使用、VS Codeでの編集を頼む文面 Unity Hub のダウンロードは、回線によっては30分ほどかかることも。説明を聞いている間に Codex に入れてもらっておく、という使い方を勧めていました。
タップで拡大 Codexに頼んでUnityを入れ、2Dのプロジェクトを作るまでの4ステップ。Codexにインストールを頼む、Installsで6.5を入れる、Universal 2Dを選ぶ、保存先はデスクトップで名前は英語と数字 Unity のバージョンは最新の 6.5 を勧めていました。AI の発達でエラーが出にくくなっている感覚があることと、古いバージョンにはプログラミング言語まわりで危ない問題が起きたことがある、というのが理由です。6.5 で入った機能として、画像の点を動かして形を変える機能(敵を踏みつぶした表現が画像生成なしで作れる)と、2D でも動きながら影が付くライトの機能を紹介していました。6.5 の新機能の一覧は、公式ドキュメントの Unity 6.5 の新機能 で見られます。スプライトの変形に使う BlendShape の API や、2D のライトと影を自作する API が載っています(2026年11月時点)。
Unity HubのInstalls画面。Unity 6.5と6.4が入っている プロジェクトを作るときの注意は? Unity Hub の Projects から New project を選び、テンプレートは Universal 2D にします。3D から始めると操作が難しいので、最初は 2D です。
Unity HubのNew project画面。Universal 2Dを選び、右側でプロジェクト名と保存先を指定する 保存先はデスクトップにしておくと、Codex がフォルダを見つけやすくなります。プロジェクト名は必ず英語と数字だけにします。日本語を入れていると、ゲームの完成時に原因の分かりにくいバグが出ることがあるそうです。
プロジェクトが開くまでの間に、配布された素材セット(ChatGPT・Gemini・Unity AI で作った画像の一式)をダウンロードして、Unity の Project の Assets に全部入れておきます。Google ドライブから落とすときは、フォルダごと保存し、Windows なら解凍してから開きます。
Unity の画面は、どこを見ればいい? Unity の画面で覚える窓は4つです。Hierarchy はゲームの中にある物のリスト、Scene は物を置く画面、Game は遊ぶ人から見た画面、Inspector は選んだ物の詳細設定、Project は素材の置き場です。このうち Scene と Game は、作る画面と遊ぶ画面で、ひとまとまりと数えます。
Unity 6.4エディタ画面の役割の図解。Hierarchy(リスト)、Game(プレイヤー視点)、Inspector(詳細設定)、Project(素材置き場) タップで拡大 覚える窓は4つ。Hierarchy、SceneとGame、Inspector、Project。困ったら右上のLayoutからDefaultで元に戻す ゲーム開発に慣れた人は窓の配置を自分流に変えがちで、初心者はそれを見て分からなくなります。配置が崩れたら、右上の Layout から Default を選ぶと元に戻ります。表示は日本語にもできますが、YouTube などの解説はほぼ英語の表示で進むので、英語のまま使うのがおすすめだそうです。
背景とプレイヤーは、どう置く? Assets の背景画像を Scene にドラッグ&ドロップすると、背景が入ります。白い枠がカメラに映る範囲なので、背景をその枠に合わせて伸ばします。
背景の Inspector を見ると、Position の Z が 100 になっています。カメラはだいたい −10 の位置にあるので、100 にすると背景が奥へ行きます。プレイヤーと背景を同じ奥行きに置くと、背景が消えたりちらついたりするためです。
なぜ背景のZを100にしたのかの図解。Z軸は奥行きの住所で、背景をプレイヤーよりずっと奥に置くため。プレイヤーや床と分けて管理しやすく、手前の物と重ならない 次にプレイヤーの画像を Assets から Scene に持ってきます。最初は大きすぎるので、四角のハンドルで小さくして真ん中あたりに置きます。
落ちる、ぶつかる、止まるは、どう作る? このままゲームを再生しても、プレイヤーはただの絵で、何も動きません。プレイヤーを選んで Inspector の Add Component から Rigidbody 2D を付けると、再生したときに下へ落ちるようになります。
タップで拡大 Rigidbody 2D(重力で動く体)、Box Collider 2D(ぶつかる範囲)、見えない床(空のGameObjectにCollider)の3つの部品の関係 落ちたままでは困るので、当たり判定を付けます。プレイヤーに Box Collider 2D を付けると緑の四角が出て、これがぶつかる範囲です。Edit Collider を押すと範囲を調整できます。受け止める側にも当たり判定が要るので、Hierarchy の+から空の GameObject を作り、Box Collider 2D を付けて床の位置に広げます。これが見えない床です。再生すると、プレイヤーが床で止まります。
Unityのシーンにプレイヤーと見えない床を置いた画面。InspectorにBox Collider 2Dの設定が出ている Roblox のような環境では重力が最初から付いていますが、Unity はいろいろな次元のゲームを作れる分、自分で付けていきます。
アニメーションは、どうやって付ける? 自転車に乗ったまま止まっているプレイヤーを動かします。素材のスプライトシート(いろいろな姿勢のキャラクターが1枚に並んだ画像)は、Project で画像の右にある三角ボタンを押すと、1コマずつに分かれて出てきます。ChatGPT などに「何分割で」と頼めば、この形式で作ってもらえるそうです。
タップで拡大 スプライトシートから使うコマを選んでアニメーションを作り、プレイヤーに付けて大きさを調整する4つの操作。 分割したコマのうち、使いたい物だけを複数選択して Scene に入れると、アニメーションを保存する画面が出て、コマ送りのアニメーションができます。AI に任せると変なコマが混ざることがあるので、ここは自分で選ぶ所。速さの調整だけは、あとから Codex に「もう少し遅くして」と頼めば直してもらえます。
Unityでアニメーションを付けた画面。ProjectにAnimator Controllerができ、Gameビューで自転車のプレイヤーが動いている できたアニメーションの部品(Animator の四角いアイコン)を、プレイヤーの Inspector の下にドラッグ&ドロップすると、プレイヤーに適用されます。再生するとキャラクターが小さく出るので、スプライトシートの画像を選び、Inspector の Pixels Per Unit を 200 から 30 くらいに変えて Apply すると、大きさがそろいます。画像生成の段階で大きさをそろえるのは手間なので、Unity 側で合わせる、という考え方です。数字が分からなければ、Codex に「大きさがばらばらなんだけど」と聞けば数字を当てはめてくれます。
プレイヤーを動かすコードは、どう付ける? Assets にある PlayerMove と PlayerJump の C# スクリプトを、プレイヤーの Inspector にドラッグ&ドロップします。十字キーで動き、スペースキーでジャンプするプログラムが紐づきました。
AI を使うのはここからです。C# のファイルをダブルクリックすると VS Code(無ければメモ帳)で開くので、コードを全部コピーして Gemini に貼り、「2段ジャンプにして」と頼むと書き換えてくれます。それを貼り戻すほうが、全部を AI に任せるより速い、というのが講師の勧めでした。Cursor や VS Code に Codex を入れている人は、そこで直接頼んでも構いません。
Geminiに貼ったPlayerJumpのC#コード。2段ジャンプ用にmaxJumpCountとcurrentJumpCountが追加されている タップで拡大 手で置く所とAIに頼む所の分け方。配置と基本の設定は自分の手で、コードの書き換えと直しはAIに頼む。「直す所だけ書き換えて」と添える 見落としやすいのがタグです。AI に C# コードを作ってもらうと、プレイヤーに Player のタグが付いていないと動かないことがよくあります。プレイヤーを選び、Inspector の Tag を Player にしておきます。忘れると、あとで原因の分からないトラブルになるので、必ず付けておくよう念を押していました。
プレイヤーのInspectorでTagのドロップダウンを開き、Playerを選ぶ画面 敵は、どう入れる? 敵(キノコ)も素材から Scene に置き、小さくしてから、Box Collider 2D と Rigidbody 2D を付けます。再生すると敵も落ちてきますが、まだぶつかるだけです。
敵の動きはスクリプトで付けます。今回は作り方から見せる形でした。Project の Assets で右クリックし、Create から Scripting の Empty C# Script を選び、ファイル名を EnemyStomp に変えます。ファイル名と中身のクラス名が違うとエラーになるので、ここは必ずそろえる所。開いたファイルの中身を配布のコードに置き換え、保存してから、敵の Inspector にドラッグ&ドロップします。
タップで拡大 Assets で Empty C# Script を作り、EnemyStomp に改名して配布のコードを入れ、敵の Inspector に付ける流れ。 配布マニュアルのEnemyStompのC#コード。プレイヤーが上から当たったときの処理が書かれている 当日はここで、敵に当たってもゲームオーバーにならない、踏んでも倒せない、という状態になりました。こういうときが Codex の出番です。
うまく動かないとき、AI にどう頼む? Codex の+ボタンには「Unity を添付」が出てくるので、Unity の画面を付け、敵に当たってもゲームオーバーにならず、踏んでも倒せないので直してほしい、と思ったことをそのまま書いて投げます。
CodexにUnityの画面を添付し、敵に当たってもゲームオーバーにならないので直してほしいと頼んだ画面。Codexがタグ・Collider・Rigidbodyのどこかが噛み合っていないと見立てている もっとちゃんと直したいときは、Codex のプロジェクトでそのゲームのフォルダを開かせると、ファイルを直接直してくれます。再生ボタンを押したときに「コンパイルエラー」とだけ出て場所が分からないときも、画面をコピーして「止まっているけど助けて」と頼めば、だいたい直してくれるそうです。当日は、タグや当たり判定のどこかが噛み合っていないと見立ててきました。
Codex が作業している間も、こちらで再生して確かめられます。頼むときのコツは、「私は手動で編集しているので、直す所だけ書き換えて」と添えることです。これを書いておくと、ほかの場所を壊されにくくなります。それでも壊れることはあるので、何回かやり取りを繰り返すのが前提だと話していました。
カメラをプレイヤーに追従させたいときも、Codex に「プレイヤーが動いたらカメラも一緒に動くようにして」と頼むだけで、画面の端で止まらないエンドレスの横スクロールになります。カメラと敵のコードは干渉しないので、同時に進めてよい、という判断ができるのも基礎を知っているからです。
ジャンプ中だけ画像を変えたいときは、ジャンプ用の画像を右クリックして Copy Path でパスをコピーし、「ジャンプしたときはこの画像を使って」と貼ります。パスで渡すと、画像を添付するより早いそうです。当日は最初は画像が切り替わらず、動きを GIF にして「ジャンプの画像が変わらない」と見せて伝え直す流れになりました。動きの問題は、言葉や静止画より GIF のほうが伝わるとのことでした。
タップで拡大 Codex には Unity の画面を添付する、ゲームのフォルダを開かせる、動きを GIF で見せるという3つの伝え方がある。 CodexがPlayerJump.csを編集し、ジャンプ中は指定した画像に切り替わると報告した画面(この時点では再生して確かめていない) 敵の素材は、どう用意する? 敵をたくさん作りたいとき、講師は画像生成 AI で作ったキャラクターの画像を使います。配布の素材にはわざと背景を消していない敵の画像が入っていました。生成するたびに背景を消すのは手間なので、まとめて作ってあとで消す、という流れを見せるためです。
画像生成AIで作った敵キャラクターのスプライトシート。狐の面をかぶった社のようなキャラクターが16コマ並んでいる 画像のパスをコピーして Codex に「背景を削除して、パーツごとに分けて」と頼むと、背景を消し、コマごとに切り出したファイルを Unity 用に用意してくれます。切り出し漏れがないか、Codex がプレビューを作って確かめていました。
Codexが背景を消し、コマごとに分けた敵の画像。扇子のキャラクターの動きが16コマに分かれている タップで拡大 素材づくりの3ステップ。画像生成AIで16コマのスプライトシートを作る、Codexに背景削除とパーツ分割を頼む、UnityのProjectで画像を開いて使うコマだけ選んでアニメーションにする キャラクターやゴールのアイテムは自分で画像生成したほうがよい、というのが講師の意見です。Codex にイメージ図ごと丸投げすると変な画像になったり、用意した画像を使わなかったりして、かえって時間がかかります。生成のプロンプトは「スプライトシートで16コマ」と頼むのが基本で、Gemini でも速く作れます。
敵の動きは、どこから持ってくる? 敵の動きのパターンは、講師が公開している「Unity 2D キャラ動き辞典」にまとまっています。地上敵、空中敵、ボス、プレイヤー、アイテムに分かれ、たとえば「単純歩行パトロール敵」のように動きごとに、説明、C# コード、必要な画像、AI に頼むプロンプトが載っています。
Unity 2D キャラ動き辞典のサイト。地上敵の動きとして、単純歩行パトロール敵、踏める甲羅型敵、ジャンプ移動敵、追尾歩行敵などがカードで並んでいる 地上敵のC#コードのしくみの図解。InspectorでRigidbody 2Dの速度を設定し、Raycastで壁や段差を調べて向きを反転する流れ コードが分かる人は C# をそのまま持ってきて使い、分からない人はプロンプトを Codex に投げれば、だいたいその通りに動くそうです。横スクロールゲームを基準に作ってあるので、別の種類のゲームでは制約が合わないことがある、という注意もありました。
タップで拡大 動き辞典から、コードが分かる人は C# を使い、分からない人はプロンプトを Codex に渡す使い分け。 全3回の続きは他 AI も組み合わせる回 と1本ゲームを作ろうの回 です。第2回は今回間に合わなかった人もゼロから追いつける構成で進めるとのことでした。プロジェクトの文脈を AI に伝えるフォルダの作り方は、Claude Codeのフォルダ構成の決め方|plan.mdとbrand.mdで指示を6文字に の回で扱っています。
まとめ AI に丸投げすると、あとで直せず、AI 同士の上書きで壊れる。基礎を手で触って、どこを AI に任せるかを決められるようになる Unity Hub の導入は Codex に頼める。バージョンは最新の 6.5、テンプレートは Universal 2D、プロジェクト名は英語と数字だけ 覚える窓は Hierarchy・Scene と Game・Inspector・Project の4つ。崩れたら Layout の Default で戻す 背景は Z を 100 にして奥へ。プレイヤーには Rigidbody 2D と Box Collider 2D、受け止める側に見えない床 C# の書き換えやエラー直しは、コードや Unity の画面、GIF を AI に渡して頼む。「直す所だけ書き換えて」と添える プレイヤーのタグを忘れない。素材は自分で画像生成し、背景削除とパーツ分割は Codex に回す よくある質問 Unity を触ったことがなくても参加できますか? できます。この回は Unity Hub のインストールから始め、画面の見方、配置、当たり判定、アニメーション、敵の配置までを順に進めました。配布のマニュアルは秒単位の動画付きで、大学生に試してもらっても進められたそうです。
Unity のバージョンはどれを使えばいいですか? 講師は最新の Unity 6.5 を勧めていました。古いバージョンには危ない問題が起きたことがあり、最新版のほうがエラーも出にくい、というのが理由です。
AI に任せるのはどの作業ですか? Unity Hub のインストール、C# コードの書き換え(2段ジャンプにする など)、エラーの修正、カメラの追従、画像の背景削除とパーツ分割です。背景やプレイヤーの配置、当たり判定、アニメーションのコマ選びは自分の手でやります。
Codex に Unity の問題を伝えるには、どうすればいいですか? Codex の+ボタンから「Unity を添付」を選んで画面を付け、困っていることをそのまま書きます。プロジェクトのフォルダを Codex に開かせると、ファイルを直接直してくれます。動きの問題は GIF にして見せると伝わりやすいそうです。
VS Code が無くても大丈夫ですか? 大丈夫です。C# のファイルがメモ帳で開いても、コードをコピーして Gemini などに貼り、直してもらった物を貼り戻せば進められます。
敵が動かない、ゲームオーバーにならないときは? Unity の画面を Codex に添付して「直して」と頼むのが早い方法です。当日も講師は原因を特定せずに Codex に投げていました。講師が注意点として挙げていたのは、プレイヤーに Player のタグを付けること、スクリプトのファイル名とクラス名をそろえること、Collider と Rigidbody を付けることの3つです。
敵のキャラクターや動きのパターンはどう用意しますか? 画像は ChatGPT や Gemini に「スプライトシートで16コマ」と頼んで作り、背景削除とパーツ分割は Codex に頼みます。動きは講師の「Unity 2D キャラ動き辞典」に、C# コードと AI 用のプロンプトがまとまっています。