セミナー開催レポートブログ

iOSアプリ開発をAIで始めるには?非エンジニアが2日で公開した手順・必要なもの・費用

開催日
2026年7月14日(火)21:00–22:00
講師
宇野慎一郎さん
セミナー開催レポートブログ 非エンジニアの初めてのiOSアプリ制作 講師宇野慎一郎さん 2026年7月14日開催

iOS アプリは、Mac と Apple の開発者アカウント、Xcode をそろえれば、コードが読めなくても Claude Code との会話で作り始められます。鍵になるのは、AI が苦手な認証・課金・審査といったコードの外の手続きを、AI が操作できるサービスとコマンドで置き換えることです。一方で、App Store に出すには年間の開発者プログラムの契約が要ります。審査で動かないアプリは落とされるので、Web サイトのように作ってすぐ公開、とはいきません。

2026年7月14日のセミナーでは、講師の宇野慎一郎さんが、デジタル名刺アプリ「Miica」を Apple の審査を含めて2日で公開した経験をもとに話しました。扱ったのは、必要なもの、開発の流れ、使ったツール、費用の目安です。

講師の自己紹介スライド。ProtoductAI 株式会社の代表で同志社大学経済学部の宇野慎一郎さん。これまでに作ったアプリとして、デジタル名刺アプリ Miica、AIエージェント統括ツール BuddyOS、学生時間割アプリ huuhuu が並ぶ

今後のセミナー予定

2日で公開したアプリ「Miica」とは?

Miica は、X や Instagram、Facebook などの SNS の QR コードを Apple Wallet にしまっておき、交流会などですぐ出せるようにするデジタル名刺アプリです。宇野さんが交流会で Facebook の QR コードを出すのにいつも手間取っていた、という自分の課題から生まれました。

Miica では SNS の QR コードを Apple Wallet にしまい、交流会ですぐ出せる。

1日で作り、次の日に Apple の審査を通して公開。サブスクリプション課金と広告(見ると特典がもらえるリワード広告や、下から出るバナー広告)も入っていて、実際に収益が出る形で運用しています。宇野さんはこのスピード感を、最近の AI 開発の大きな変化だと話していました。

iOS アプリは Web アプリと何が違い、どんな部品でできている?

Web アプリなら、ChatGPT や Claude に頼んで作ったものをすぐ共有できます。iOS アプリはそうはいきません。App Store に出すには Apple の審査があり、ボタンが動かない、画面が真っ黒、といった状態では落とされます。ちょっとしたバグは通ることもありますが、まったく動かないものは公開できません。

Web アプリはすぐ共有できるが、iOS アプリの App Store 公開には Apple の審査がある。
アプリ開発は「作る」だけじゃない。準備(環境構築・アカウント登録・設計)、開発(UI作成・機能実装・AI活用)、テスト(動作確認・テスト自動化)、提出・審査(ビルド・App Store提出・審査対応)、公開・運用(リリース・データ分析・改善)の5つの工程

アプリ開発は「作る」だけでは終わりません。準備、開発、テスト、提出・審査、公開・運用の5つの工程があり、この全部を AI と道具で楽にしていく、というのが当日の話の骨組みです。

LINE を例にすると、見た目の画面、チャットを送る機能、送った内容を保存するデータベース、ログインのための認証、スタンプを買う課金、広告、通知。アプリはこうした部品を組み合わせてできています。

アプリはこの部品でできている。UI(画面・ボタン・見た目)、ロジック(アプリのルールや処理)、データベース(データを保存する場所)、認証(誰が使っているか確認)、課金(売上を作る仕組み)、広告(無料アプリの収益化)、通知(ユーザーに情報を届ける)

ただし、全部のアプリに全部が要るわけではありません。電卓アプリなら計算できればよく、結果を保存しないならデータベースは要りません。ログインも不要です。

全部のアプリに全部は必要?の表。電卓アプリは UI とロジックだけ、ToDo アプリは UI・ロジック・DB・通知、SNS アプリは全部、Miica は広告も含めて全部(表では広告だけ×だが講師が補足)。目的に合わせて必要な部品を選ぶことが大切

スライドの表では Miica の広告に×が付いていますが、講師は実際には広告も入っていると補足していました。

最初の1本は、どこまで作ればいい?

宇野さんが勧めていたのは、最初の1本をデータベースなし・認証なし・課金なしで作ることです。iOS アプリには、外部のクラウドに置かなくても iPhone の中にデータを保存する機能があります。個人向けのアプリなら、取らなくていい個人情報まで集めないほうが、セキュリティの面でも作る手間の面でも楽になります。

最初の1本は、データベースも認証も課金も無くていい。データベースが要るのはプロフィールや投稿を保存したい、ほかの端末でも見たい、履歴を残したいとき。要らないのはその場で結果が出ればいい、自分用のデータは iPhone の中に保存できる、機能が少ないほど安全で作りやすいとき

App Store の審査を通さなくても、TestFlight を使えば限られたテストユーザーにアプリを配れます(TestFlight は Apple Developer Program の会員向けの機能です)。まずそこまでを一度やってみる。宇野さん自身も簡単なアプリから機能を少しずつ足す経験を重ね、その先に2日での公開があったそうです。

始めるのに必要なものと、最初にやることは?

前提は4つです。Mac、Apple ID、Xcode、そして Apple Developer Program。Xcode は Mac の App Store から無料で入れられる Apple 純正の開発ツールで、AI で開発する場合は入れておくだけでよく、画面を開かなくても進められます。

iOS開発の前提条件。1 Mac、2 Apple ID、3 Xcode、4 Apple Developer Program の4つをそろえればスタートできる

いちばんの障壁は Apple Developer Program だと宇野さんは言います。App Store にアプリを出すには、この開発者プログラムを年間契約する必要があり、Apple の公式サイトでは年間メンバーシップが99ドルと案内されています(2026年11月時点)。宇野さんの実感では年間1万5千円ほどとのことでした。Simulator での動作確認や、Xcode から自分の iPhone で動かす範囲なら、契約しなくても試せます。講師は TestFlight での自分向けの配布も無料でできると話していましたが、Apple の会員区分の比較ページでは、ベータ配信に使う App Store Connect は Apple Developer Program に登録したあとに使える機能として案内されています(2026年11月時点)。

iOS アプリ開発を始める4つの前提と、かかるお金。Mac はほぼ必須、Apple ID と Xcode は無料、Apple Developer Program は年額あり。Simulator と Xcode での実機確認までは契約なしで試せ、TestFlight での配布は契約後

宇野さんが当日の参加者に頼んだのは3つだけでした。Xcode を入れる、Simulator を立ち上げる、AI に1画面作らせる。

今日から始める3ステップ。1 Xcode を入れる(Mac の App Store で検索してインストール)、2 Simulator を起動する(Xcode を開いて iPhone の画面をパソコン上で体験)、3 AI に1画面作らせる(AI に「こんな画面を作って」とお願いするだけ)。最初の目標は App Store 公開ではなく、自分のアプリが動く体験

Simulator は、Mac の中に出てくる iPhone の画面のモックです。立ち上げ方は自分で調べなくても、Claude Code に頼めば進めてくれます。ここまでできれば、あとはいつも Web サイトを作るときに Chrome や Safari で確かめているのが Simulator に変わるだけ。コードが読めなくても、会話しながら完成に近づけていけます。

ここまでできたらスタートライン。Xcode(アプリ開発の統合環境)、Simulator(iPhone を仮想で動かせる)、ターミナル(コマンドを使える環境)の3つが揃えば、AI コーディングを始められる

Xcode を入れると、コマンドで Xcode を動かすための道具(Xcode CLI)も一緒に入ります。Claude Code の画面に「xcrun simctl」のようなコマンドが流れていたら、それが Simulator の起動やアプリのビルドをしている所です。ビルドの設定なども Claude Code が扱えるので、Xcode の画面のボタンやメニューを自分で触る必要はない、というのが宇野さんの説明でした。

Expo と Swift、どちらで作る?

iOS アプリの作り方は大きく2つあります。Expo は、同じ言語で iOS と Android の両方を作れる仕組みで、コマンドが多いぶん AI が操作できる範囲が広いのが利点です。Swift は iOS 専用で、UI がきれいに仕上がり、ビルドも速く、Apple Wallet やウィジェットなど Apple 専用の機能を全部使えます。

Expo と Swift の違いを注文住宅と一から家を建てることに例えた表。開発スピードは Expo が速く Swift は遅め。自由度は Expo が中くらいで Swift はとても高い。AI との相性は Expo がとても良く Swift は良い。Apple 純正機能は Expo が一部制限あり、Swift はすべて使える

宇野さん自身は寝起きの写真をシェアする SNS を Expo で、Miica を Swift で作っています。結論は「最初は Expo、理解は iOS」。Expo は楽に始められるので最初の1本に向き、こだわって作り込みたくなったら Swift へ、という順番です。

最初は Expo で速く、こだわるなら Swift。Expo は iOS と Android を同じ言語で作れて AI が操作できる範囲が広いが Apple 専用の機能に一部制限がある。Swift は iOS 専用で UI がきれいで純正の機能を全部使えるが環境構築に時間がかかる

気づきとして挙がったのが、両方に出すつもりで Expo を選んでも、決済はそれぞれ実装が要ることです。見た目は AI がすぐ作れるので、iOS で流行ってから Android 版を足せばいい、というのが今の考えだそうです。Claude Code に Simulator を立ち上げてもらうときに、Expo で作るか Swift で作るかを先に伝えておくと、あとの設計が楽になります。

AI が得意なことと、苦手なことは?

昔は人がコードを書いてアプリを作り、少し前までは人が AI にコードを書かせていました。今は、認証や審査といった周りの作業まで AI が自動化し始めている、というのが宇野さんの見立てです。

AI が苦手なこと。認証(2段階設定やセキュリティ設定など)、課金(支払い方の登録や更新ルールの設定)、Apple 審査(審査基準の解釈やリジェクト理由の分析)、証明書(証明書の作成・更新・期限管理)、ストア設定(ストア情報の入力や設定方法の把握)。コード以外の周辺作業で迷いやすいので、そのまま全部は任せない

得意なのは画面を作る、画面を直す、API とつなぐ、テストコードを書く、多言語化する、セキュリティの弱点を見つける、といった作る作業です。苦手なのは認証、課金、Apple の審査、証明書、ストアの設定。コードの外にある手続きで、管理画面を操作したり証明書を発行したりする部分は AI が自分では触りにくい所です。

コードは速い。コード以外の周辺作業で迷いやすい。得意は画面、画面の修正、API との連携、テストコード、多言語化、セキュリティの弱点を見つける。苦手は認証、課金、Apple の審査、証明書、ストアの設定。苦手な部分を AI が操作できる外部サービスとコマンドで置き換える

この苦手な部分をどう埋めるかが、2日で公開できた理由です。宇野さんの言葉では「AI に全部任せるのではなく、AI が動ける環境を設計する」。ここから先は Miica を作った7つの工程に沿って、どの工程でどのツールを使ったかを見ていきます。

Miica はどんな流れで作った?

工程はアイデア、設計、実装、課金、テスト、審査、公開の7つで、全体マップにはその先の改善を加えた8つが並びます。

Miica アプリ開発の全体マップ。1 アイデア、2 設計、3 実装、4 課金、5 テスト、6 審査、7 公開、8 改善の8つの工程が並ぶ
アイデアから公開までの7ステップと使ったツール。1 Claude Code でアイデアを整理して仕様にする、2 設計する、3 Simulator で見た目から1機能ずつ作る、4 Clerk と Convex で認証とデータベースをつなぐ、5 RevenueCat で課金を入れる、6 Maestro で AI にアプリを触らせて確かめる、7 Xcode CLI と App Store Connect CLI でビルドして提出・公開する

アイデアの段階で宇野さんが言い出したのは「ウィジェットで QR コードを共有できたらいいな」くらいでした。それを Claude Code に伝え、どんな機能が要るか、こういう使い方はどうか、と会話しながら整理していきます。

設計が終われば、あとは実装と Simulator での確認と修正の繰り返しです。Xcode を起動した直後の画面はシンプルな1画面なので、そこに「タスク管理アプリを作ってみたい」と頼むと、Simulator の画面が変わっていきます。宇野さんが勧めるのは、見た目の部分から先に作ること。完成像を自分の目で見ながら指示を出せるので、認証や課金のような後ろの機能より先に取りかかるほうが進めやすいそうです。

AI に1機能ずつ作らせ、Simulator で確認するサイクル。指示(AI にやってほしい機能を具体的に指示)→ 実装(AI がコードを生成し機能を実装)→ Simulator 確認(Simulator で動作を確認・検証)→ 修正(必要に応じて指示を追加・修正)。一気に作らない、1機能ずつ検証、画面で確認してから次へ

認証・データベース・課金は、どのサービスを使った?

Miica では、ユーザーのデータと ID を管理する必要があったので、認証に Clerk、データベースに Convex を使いました。どちらも最初は無料で使えます。この2つを選んだ理由は、AI エージェントとの相性です。ターミナルでログインのコマンドを一度打てば、あとは AI がデータベースの管理画面や認証の設定まで操作してくれます。

DB と認証。Convex はデータ保存(アプリのデータを安全に保存・取得、リアルタイム同期も得意)、Clerk はログイン認証(ユーザー登録・ログイン・セッション管理をシンプルに実現)。Miica ではユーザーのデータと ID を管理する必要があったため両方を導入したが、すべてのアプリに必須ではない

Clerk は、Google や Apple、X などのソーシャルログインと、ログイン状態の管理をまとめて任せられるサービスです。Apple ログインは Clerk を使わなくても実装できますが、Claude Code で作るとエラーが出てつまずきやすく、セキュリティにも関わる部分なので、外部のサービスに任せたほうが安全で早い、というのが宇野さんの考えです。誰がどこからログインしているかも管理画面で見られます。

Convex は、Supabase に似たデータベースのサービスです。宇野さんが Convex を選んだ理由は2つあります。1つは最初から外に出さない設計になっていて、外部からの攻撃をそこまで考えなくても公開できること。もう1つは、LINE のチャットのように送った内容がすぐ相手に表示されるリアルタイム同期が標準で付いていることです。スマホアプリはいいねがすぐ反映されるなど、リアルタイムに動くと嬉しい場面が多いので相性がいいそうです。

課金には RevenueCat を使っています。iOS アプリの決済そのものは Apple の仕組みで、API は Apple の開発者向けの管理画面から発行します。RevenueCat はその決済を簡単に組み込める SDK を持っていて、サブスクリプション、買い切り、どの機能を使えるようにするかの管理までをまとめて扱えます。

課金。RevenueCat はサブスク・買い切り・Entitlement を管理する。App Store でユーザーが購入すると RevenueCat が購入情報の検証・管理をし、Miica アプリ側でプレミアム機能、拡張コンテンツ、限定機能へのアクセスを制御する。Miica は課金基盤を備えてリリース

もう1つの利点が数字です。App Store の管理画面では、何人がダウンロードして誰が課金したかは翌日にならないと分かりません。RevenueCat を入れておけば、課金の情報をその日のうちに見られます。iOS と Android の両方に出したときも、1つの画面で売上をまとめて見られます。

手数料について、宇野さんは「一定の売上までは無料で、超えた分の1%」と説明していました。RevenueCat の料金ページでは、月の計測売上が2,500ドルまでは無料、それを超えると1%と案内されています(2026年11月時点)。個人開発の規模なら、しばらくは無料のまま使えます。

Miica は認証に Clerk、データベースに Convex、課金に RevenueCat を使った。

ツールの選び方と、動くかどうかの確かめ方は?

宇野さんがツールを選ぶときに見ているのは、AI がそのサービスの管理画面を操作できるかどうかです。AI が外部のツールやサービスに接続して操作するための通信の規格に MCP があります。便利なツールでも、導入のたびに使い方を覚えて管理画面を操作するのでは、そこがつまずきの元になり時間も取られます。ですから、ほとんどを自動化できるサービスを選ぶ。

認証や課金のような大事な部分を自分のサーバーで持たず、外部のサービスに任せるのも同じ理由です。宇野さんはもともとエンジニアではないので、セキュリティを守ったうえで難しいことを考えたくない、と話していました。

課金も認証も見た目も「できました」と Claude Code が言ってきても、本当に動くかは分かりません。見てみたら画面が真っ黒だった、ということはよくあります。そこで宇野さんは、AI に実際にアプリを操作させて動くかどうかまで確かめさせています。

テスト。Maestro は人間の代わりにアプリを触って確認する。シナリオ作成(テストの流れをシナリオとして定義)→ 自動操作(Maestro がアプリを自動で操作)→ 不具合発見(期待した結果と異なる箇所を自動で検出)。手動確認を減らす、毎回同じ操作を再現、AI が書いたコードを検証

使っているのは Maestro というツールで、Simulator の画面に対してスクロール、タップ、文字入力を自動で行えます。ログインが動くか、決済が動くか、画面がちゃんと切り替わるかを試し、動かなければその情報をもとに AI が直す。このループを回せると、自分で一つずつ確認する手間が減ります。

AI が操作できるサービスを選び、Maestro のタップや入力でアプリが動くか確かめる。

提出と公開は、どこまで自動化できる?

動くものができたら、App Store に上げます。ビルドと提出は Xcode の CLI、Expo で作った場合は EAS というコマンドで行います。宇野さん自身も普段の開発は、Codex や Claude Code を動かすターミナルと Simulator の2つの画面だけで進めているそうです。

公開。App Store Connect API と asc を使って、提出・メタデータ管理・公開までを自動化する。1 ビルド済み .ipa を用意、2 アップロード、3 メタデータ更新(アプリ情報、説明、画像、スクリーンショットなど)、4 公開(審査通過後、指定したタイミングで自動的に公開)。App Store Connect API(Apple の公式 API)と、asc という CLI ツール

App Store に並ぶときのアイコン、説明文、スクリーンショット、利用規約、対象年齢といった情報の入力も、App Store Connect API(Apple 公式の API。2026年11月時点)と、それをコマンドで扱う CLI ツールを使えば自動化できます。宇野さんの言い方では、提出の最後のボタンを押す所以外はほぼ自動化できる。Apple の管理画面からダウンロードした鍵のファイルを渡しておく必要があり、取り方は少し複雑なので、そこは調べたり AI に聞いたりして進めてほしいとのことでした。ウィジェットや通知のような Apple 専用の機能を使うときの設定も、この CLI 経由で自動で行えるので、必ず入れてほしいツールだと話していました。

ビルドとストア情報の入力は自動化でき、鍵のファイルは事前に渡し、提出の最後のボタンだけ自分で押す。

公開したあとは、何をする?

リリースはゴールではなくスタート。ダウンロード数や課金の売上、継続率を見ながら、ユーザーの声を聞いて改善を重ねていくのがアプリ運用です。

リリースはゴールではなくスタート。公開後に見る数字が次の改善を決める。公開→計測→改善の流れ。アプリは出して終わりではなく、数字を見て育てるもの

質疑応答で出た宣伝の話も実践的でした。宇野さんはアプリを伸ばすために X で発信していて、Miica の投稿が最初は伸びなかったとき、1,500円分の X のブースト広告をかけたところ、広告で買った表示は2〜3万ほどなのに、そこから40万表示まで伸び、最終的に50万表示ほどになったそうです。フォロワーが少ない最初の数日は、広告を買うのも選択肢になります。ダウンロードは1,000ほどで、課金のコンバージョンは3%前後でした。

Miica の投稿に1,500円分の広告をかけ、広告で2〜3万表示を買い、最終的に50万表示ほどになった。

課金されるアプリには、安くなるオファーや解約後の案内のような地道な導線が要る、ユーザー体験と課金は比例しない部分がある、というのが宇野さんの最近の実感です。広告収益で成り立つアプリの例として、アラームを止めるのに行動が要るアプリでは収益の半分がリワード広告だ、という話もありました。

費用はどれくらいかかる?

初期の開発費は、Miica の場合ほぼ無料でした。Convex も Clerk も無料枠で始められ、App Store に出すときに必要な利用規約とプライバシーポリシーのページは、Cloudflare Pages や GitHub Pages にドメインを買わずに置けます。

初期費用はほぼゼロ。年間の固定費は開発者プログラムが中心。1 作るときのお金はほぼかからない、2 続けるときのお金は年間約1万5千円+AI、3 売上が出てからかかるお金は RevenueCat の1%。当日の見立てでは AI の利用料を除き細かいツールを足しても年5万円ほど

続けるときの固定費は、Apple Developer Program の年間1万5千円ほどが中心です。AI の利用料は別で、宇野さんは Claude を月100ドルのプランで使っていました。当日のやり取りでは、AI の利用料を除き、細かいツールを足しても年5万円ほどという見立てでした。Cloudflare を使うと、ドメインの設定やサブドメインの追加までターミナルから自動化できるので、アプリ用のホームページを作るときにも勧めていました。

AI に自分の環境を触らせるときの権限の考え方は、ClaudeCodeを安全に使うためのセキュリティ講座でも扱います。Claude Code に渡すフォルダや資料の整え方は、Claude Codeのフォルダ構成の決め方|plan.mdとbrand.mdで指示を6文字にの回が参考になります。アプリに AI の機能そのものを組み込む話は、Codex App Serverの使い方と料金とAIスケジュール帳の作り方|Codex App Serverでアプリを作って試すで扱っています。

まとめ

  • 必要なのは Mac、Apple ID、Xcode、Apple Developer Program(年額99ドル)の4つ。Simulator と Xcode での実機確認までは契約なしで試せる
  • 最初の1本はデータベース・認証・課金なしでよい。大事なのは公開すること
  • 作り方は Expo と Swift の2つ。最初は Expo、こだわるなら Swift
  • AI はコードを書くのは速いが、認証・課金・審査・証明書・ストア設定が苦手。Clerk、Convex、RevenueCat、Maestro、Xcode CLI、App Store Connect CLI で埋める
  • 開発は、見た目から1機能ずつ作って Simulator で確かめる繰り返し
  • 費用は初期ほぼゼロ、年間は開発者プログラムの約1万5千円と AI の利用料が中心

よくある質問

プログラミングの経験がなくても iOS アプリを作れますか?

宇野さんによると、Xcode を入れて Simulator を立ち上げ、AI に1画面作らせるところまでできれば、あとは Claude Code と会話しながら進められるそうです。コードを読めなくても、Simulator の画面を見ながら指示を出す形で完成に近づけます。

Windows でも作れますか?

厳密にはできなくはないものの、基本的には Mac が必要だと宇野さんは話していました。Xcode が Mac 用のツールだからです。

お金はいくらかかりますか?

App Store に出すには Apple Developer Program の契約が要り、公式サイトでは年間99ドルと案内されています(2026年11月時点)。Convex、Clerk、RevenueCat は無料枠から始められます。Miica の場合、初期費用はほぼ無料で、続けるための固定費は年間1万5千円ほどと AI の利用料でした。

Xcode の設定は自分で触る必要がありますか?

ありません。Xcode の設定はプロジェクトの中のファイルに書かれていて、そこを AI が変えられます。Xcode は Mac に入れておくだけでよく、画面を開かなくても Claude Code が CLI を通じて Simulator を起動したりビルドしたりします。

Expo と Swift はどちらを選べばいいですか?

最初の1本は Expo が始めやすく、AI との相性もよいので勧められていました。Apple Wallet やウィジェットなど Apple 専用の機能をフルに使いたい、UI にこだわりたいなら Swift です。どちらで作るかは、Simulator を立ち上げる時点で Claude Code に伝えておきます。

利用規約やプライバシーポリシーはどう用意しますか?

App Store に出すときは、規約やプライバシーポリシーを載せたページが要ります。Cloudflare Pages や GitHub Pages に AI で作ったページを無料で置いてリンクするのが手軽な方法です。アプリ用のホームページを作る場合は、そこに載せます。

Claude Code で自動化できない作業は残りますか?

ログインのような、ターミナルからブラウザに移って認証して戻ってくる操作は AI ではできないので、そのコマンドだけは自分で実行します。それ以外は、API の鍵を渡しておけば、作るアプリによってはリリースまでのループを組めるそうです。

アーカイブ動画はProcevoで見られます

Procevoでは、毎週1回、専門家によるセミナーを開いています

  • 毎週1回のセミナー
  • 動画は見放題
  • いつでも参加できる
  • いつでも退会できる
  • 入会金0円
  • オフラインイベントは無料
  • オンライン交流会
  • 情報の共有

今後のセミナー予定

その他のおすすめアーカイブ

セミナー開催レポートブログ一覧へ